高校中退者のためのフリースペースがオープン

 近年、学校から社会へ移行する段階で立ちすくむ若者が増えています。私たちは、これは決して「働きたくない若者」や「問題のある若者」が増えたというより、社会・職場環境が大きく変化する中で、若者が自らの将来像を描きにくくなった「結果」だと考えています。

 大量生産の時代は終わり、一人で多様な仕事をこなす多品種少量生産の時代になりました。職種もサービス化が進みモノを相手にするより人を相手にする仕事が増えています。企業間競争が厳しくなり技術の進歩も著しく、成果主義が導入されて職場はストレスに満ちています。対人関係を苦手とする人はともすれば弾かれてしまうのです。さらに、企業が正社員の採用を絞り込む中で、非正規雇用が3分の1を占めるようになり、キャリア形成や将来の生活設計も難しくなっています。多くの若者が「生きづらさ」を感じる時代になっているのです。

 ただ、一方で、中小企業の求人倍率は4倍を超えています。生産年齢人口の減少が進む中でたくさんの企業が人材を求めているのです。また、いろんな業界や地域で新しい産業おこしの取り組みが活発化しています。若者はこれからの社会を中心になって築いていく存在です。私たちは、若者の困難に寄り添いながら、地域の企業と連携してさまざまな選択肢を見出し、働くために必要な支援を提供して産業の担い手を送り出していきたいと考えています。

A´ワーク創造館では、約10年前から対人関係やコミュニケーションが苦手だったり、就職に向けて“一歩”を踏み出せない若者に対して、「これから学級」というコースを開設し、コミュニケーショントレーニングや就職準備支援、さらには企業やNPOの協力を得て職場体験・実習(ジョブトレーニング)などのプログラムを提供しています。

 これらは当時の大阪府教育委員会やA´ワーク創造館スタッフの並々ならぬ努力によるもので、近年国が展開するパーソナル・サポート・サービスや生活困窮者自立支援法の考え方や手法を先取りした取り組みであり、私たちはそのノウハウを受け継ぎ発展させるべく若者支援をA´ワーク創造館の一つの柱に位置付けています。

 2011年度には、大阪府の委託事業を受けて府内16校の定時制・通信制高校に支援員を派遣し、進路決定に悩む生徒さんたちの進路相談や「4時から学級(これから学級の高校版)」に取り組みました。以来、全日制普通科高校を加えた複数の学校にキャリアコンサルタントを派遣して、課題を抱える生徒さんの相談・支援や求人企業の開拓をしています。

 そして、この度、一般財団法人ヒューマンライツ教育財団、大阪府立西成高校、地元中学校、NPOと連携して、西成区に高校中退者のためのフリースペース「マナビバ!」を開設することとなりました。これは、主として本年度に西成高校を中退した生徒さんに居場所を提供し支援者との関係性をつくる中から、本人の希望を引き出し、高校再入学や高校卒業認定資格の取得、学習支援、アルバイトや就職支援につないでいくモデルを作ろうというものです。

これらの生徒は、学校という居場所をなくすと、孤立し、ひきこもりになるリスクを抱えているからです。私たちは、いずれ卒業後退職した若者をも含め、学校と地域の各種支援機関、職業訓練機関、NPO、さらには地域企業が連携した取り組みに発展させていきたいと考えています。
詳細は下記ホームページで報告してまいります。皆様のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

高校中退者のためのフリースペース マナビバ!
http://kokokara.hotcom-cafe.com/

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