平成29年度社会福祉推進事業の調査研究報告について

手引き「自治体の就労支援と『無料職業紹介事業の活用』あり方」ほかが完成しました。平成29年度社会福祉推進事業(厚生労働省)の調査研究報告です。下記よりダウンロードしていただけます。

 

「無料職業紹介事業の活用」手引き (PDF/3.7MB)

自治体アンケート調査の結果 (PDF/7.1MB)

 

【概要】 生活困窮者自立支援制度において、就労準備支援事業や就労訓練事業などの中間的な支援方策が明確になり、同時にオーダーメード型支援の典型として早期の普及が望まれた。しかし、同制度を実施する自治体にとって、個々の相談者(ニーズ)の事情を踏まえた「中間的な支援」策の具体化には想像以上の困難が伴っている。また「中間的な支援」策の不足、具体性に欠ける支援サービス(情報)が相談利用の伸びにも影響している。

 調査研究の概要は、第1に、支援手段としての「無料職業紹介事業の活用」(以下「事業の活用」)に注目し、各分野・部署における実態把握を行った。第2に、自治体の就労支援について、相談の段階、就労準備の段階、就労に向かう段階、職業紹介、採用後の定着の段階という支援プロセスに分解し、自治体の各部署の取組みがどの段階をカバーしているのか、問われる支援や「事業の活用」との関連などを整理した。また、支援プロセスについて、「キャリア権」の考え方を援用し、相談者のキャリア形成を支援するという観点からとらえ直す試みも行った(シンポジウム「『働く』『働き続ける』を支える自治体の役割を考える」)。

第3に「中間的な支援」策では、就労準備支援事業で行われる職場見学や就労体験、あるいは就労訓練事業に注目し、その具体的な内容、情報形式について整理を試みた。見学や体験、訓練に関するプログラムが備えるべき内容、自立相談支援機関等の相談支援員が自信をもって案内できるプログラムの条件、あるいは潜在的な相談者に向けて発信するための内容や情報形式等について検討を行った。その結果、「就労体験等プログラム・シート」として「中間的な支援」策の見える化を行い、求人(情報)と同じように相談支援の現場で流通し活用される状態を構想した。なお、就職活動の中で注目される「インターンシップ」と就労支援における見学や体験、訓練との違いについても意識して、プログラムの内容や形式の検討を進めた。

第4に、「中間的な支援」策に続く、就労に向かう支援、職業紹介、定着支援という一連のプロセスに共通する課題である企業・事業所との関係づくりについても考察し、自治体による「事業の活用」が単に求人・求職のマッチングにとどまらない、就労支援のプロセスに欠かせない企業・事業所との関係づくりを担保する機能としてとらえ直した。

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